高インパクトの体験を学生に届ける
プロジェクトベースのグループ活動、奉仕学習、学生と教員による研究、ピアメンタリング、およびインターンシップなどの、グローバルかつ応用的な学びの機会を取り入れる交換留学および海外留学プログラムに参加すると、学生は各地域でも世界的にも様々な状況下で変革者として成功するための自信および能力を向上することができます。
既に交換留学および海外留学プログラムを実施している日米の提携機関は、プログラムの期間と学習内容の難易度にかかわらず、グローバルかつ応用的な学びの機会を取り入れるために協力すべきです。慎重に計画・設計すれば、短期の交換留学および海外留学プログラムでも高インパクトの学び、成長、および能力開発の機会を学生に届けられるということを示す研究が増えています。
さらに多様なタイプの教育機関の取り込み
日米間では高等教育機関がかなりの数の交換留学および海外留学提携合意を結んでいますが、持続可能性、アクセス可能性、インクルージョン、および互恵性の面では両国にてギャップが現在でも存在しています。アメリカでは、本調査のデータによると、アメリカのコミュニティーカレッジ、マイノリティーを対象とした教育機関、および女子単科大学においては、日本との公式の提携関係が有意に少ないことが示されています。さらに、日本においては、国公立の総合大学においてアメリカとの交換留学プログラムが有意に少なくなっています。
日米は、共有する世界的な問題を解決するために、多様な体験および視点をすぐにでも全て検討する必要があります。アメリカの歴史的に黒人が多く通う単科大学および総合大学(HBCU)およびヒスパニック系が多く通う教育機関(HSI)は、アメリカ経済に対して制度の枠にはまらない深いインパクトを伴う幅広い貢献をしてきました。中でも、総合的かつ相互につながり合う共同の学習、リソース、および交換留学のネットワークを生み出す素地を整えています。さらに、こうした機関は、機関同士の提携関係を超えて教育および社会の不平等の解決につなげるために高等教育には何ができるかを特定する中でも重要な役割を演じています。
さらに、アメリカのコミュニティーカレッジで学ぶ日本人学生数が増加しており、また逆に日本で学ぶアメリカ人学生数を増加させたいとの思惑もあることから、アメリカのコミュニティーカレッジの交換留学プログラムに投資すれば、学生の成功を促進し、両国においてより力強く、より繁栄し、よりインクルーシブな中流階級を育てる一助にもなるでしょう。
学期の調整に向けた取り組みの継続
日本人学生もアメリカ人学生も夏に海外留学してその後秋に母国の教育機関に戻ることをより可能にするために学期を一致させる取り組みをさらに進めるべきです。多くの日本の大規模な大学はアメリカの提携先の学期に合わせて交換留学プログラムの時期を調整しましたが、こうしたプログラムにあまり学生が参加しないことが現在進行形の懸念となっています。
単位換算合意
より多くの相互の単位換算を行う合意を結ぶために、日米の教育機関の間では既存の交換留学における資源の共有にさらに注力すべきです。より換算しやすい体勢を整えることで、よりターゲットを絞って留学生を募集することが可能になり、また交換留学体験からの単位をスムーズに換算できると学生の支援にもつながります。